関東甲信越大会 優勝のご報告
我が東京ブルーサンダースは、先ごろの9月20日・世田谷区において開催されました『ゼット杯争奪・第20回関東甲信越身体障害者野球大会』において、大会連覇となる優勝を達成することが出来ました。皆さんからの多大なるご支援ご声援に、深く感謝申し上げます。そして、来たる11月15日、16日・兵庫県立但馬ドームで開催されます『第16回・全日本身体障害者野球選手権大会』に、関東甲信越連盟代表として、2年連続9回目の出場をいたします。
大会連覇に向けて
「この大会を目標にして、チームを結成してここまで練習してきたんですよ。」
開会式を控えた中、関東甲信越連盟新加盟・大会初出場の千葉市川ドリームスター代表、笹川さんは感慨深げに話してくださいました。この後、ドリームスターは大会初勝利を挙げ、さらに大きな感慨を得ることになります。大会出場6チーム、それぞれの形で期するものを抱いて臨む大会。台風の接近で当日の開催が危ぶまれましたが、直前にして「時々晴れ」の天気予報に転じました。出場チームの期する思いが勝ったのでしょうか?
ブルサンが期するものは、当然「選手権決勝でのリベンジ、日本一を獲る」なのですが、そのためには、例年激戦の今大会を、連覇することが前提となります。高いハードルが控えますが、開会式前からナインにはリラックスムードが充満していました。
1回戦が終了し、初戦準決勝の相手が長野佐久レッドスターズに決まり、グランド挨拶を終えたあたりから、徐々に引き締まったムードに変わっていきました。それでも、ゆったり感が感じられたのは、主催大会ではなくても、地元の東京の空気の中という理由もあったのでしょうか?石垣主将を中心に、円陣で初戦への入念な注意確認と意識統一が図られましたが、林監督からは「勝とうや!」の一言のみ。選手達の姿勢が試されます。
準決勝 対長野佐久レッドスターズ
守備に就くメンバーにキャッチャー宮本の声が響く。そのフォーメーションでチームは試合に入り込む。「さあここだ、来い!」先発大森へコースを要求。大森はテンポよく投げ込み、ひとりの出塁を許すも短時間で初回の守りを終わらせたことが、裏の攻撃へとつながりました。先頭の宮本から、快心の当たりは出ませんでしたが、外野手の前に落とす、転がす、ボールを見極める、代走の好走塁、犠牲フライ…気づけば一巡後の2番山﨑の2打席目、今度は目の覚めるライナーが左中間のネットを直撃!これで8点目。ここから長打が続きます。しっかり守って、しぶとくつなぐ、そして突き放す。理想的な攻撃だけではなく、3イニングを無失点で抑えきった勝利こそ、快心のものでした。
決勝戦 対群馬アトム
この大会の決勝戦の舞台に必ず登場し、選手権切符をかけて毎年大接戦を演じる、宿命づけられたライバル・群馬アトムを3塁側に向かえた時も、今年に関してはブルサンの空気が、特に高まるというわけではなく、各選手が思い思いにウォーミングアップをしている印象でした。素振りをする選手、ストレッチをする選手…ゆったり構えていた選手たちがベンチ前に整列する時、ひとり、ガックリした様子でしかめっ面を浮かべながら列に加わる選手がいました。石垣主将です。
「ジャンケン負けちゃったよ・・・後攻です。」
ガクッときたムードのまま、挨拶のあと少し重めの様子で守備に散ったブルサンナイン。しかし、そのたった5分後、ナインはものすごく軽くて速い足取りでベンチに戻ってきました!その最後に、走る球で早めに追い込み、3者凡退に切った先発の田中が、ゆっくり歩いてきます。
「チョットみんな!後攻で良かったじゃん!!」
軽快な守備の石垣主将。ゲンキンなキャプテンシーですが、まさにこの掛け声からチームに勢いが付きました。ここで打席に向かうのは山﨑。ルーキー・もちろん群馬アトム戦初登場ですが、小気味よいスイングから放たれた打球はセンターへ!次の瞬間、審判が手を回す。先頭打者ホームラン。挨拶代わりという言葉では足りない、インパクト絶大の一発。更に石垣出塁の後、3番香野もセンターへ。ホームラン2発で主導権を握った止まらないブルサン打線、打者一巡で6点を奪います。香野は2回に、今度はライトへ引っ張っての連発。ベンチの歓声が、次第に驚嘆の声へと変わっていきました・・・
大量リードの中でも、ブルサン守備陣がエラーで崩れることはありませんでした。守備から打線のリズムを作る、大会中の2試合を通して発揮した、何年もかけて培ってきたチーム力です。決勝では捕手に回った大森のリードに乗り、田中は内外高低、見事に投げ分け、4回をノーヒットピッチング。リードを9点に拡げた4回、藤沢が放った強烈なライナーが3ランとなり、最強ブルサン打線が完結するとともに、藤沢の1発が『田中の決勝ノーヒットノーラン』をも完成させたのでした。今年は、群馬アトムを堂々と破って関東甲信越を無失点で制し、昨年届かなかった日本一を期して全日本選手権に再挑戦します。
記:山形重人
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